小説

□恋し人(オマケ)
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「酒飲ませて既成事実を・・・一回ヤればいくら副長だって・・・」

「じゃあコレは如何だ?天人御用達の媚薬、効果は抜群、習慣性なし。俺の給料三か月分だけど、おまえの幸せのためなら・・・うぅ」

「隊長、副長はいったん頭に血が上ると、他の事考えられなくなりますから、仕事とかやってたら先ず怒らせた方が」

「副長も沖田さんには甘いしなぁ〜。『抱いてくだせぇ』だけで、落ちるんじゃねぇ?」

「いや、あの人割とロマンチストだからもう一捻り必要だろ」

「結構一途なもんにも弱いよな。幕吏の娘、ずっと好きですと言い続けて、結局付き合う羽目になっただろ。最終的に別れたけれど」

「馬鹿、アレは付き合っていたんじゃなくて、上から命令されてたおこぼのままごとだって」

「でも、他に副長、本命いないんですかね」

 一人の質問に、沖田はあっさりと答える。

「居まさぁ」

 思いも寄らぬ発言に、一同は一斉に沖田の顔を見た。

「おれの、姉貴でィ」

「「「「茨道っ!?」」」」

「はっはっは!そうか、トシはミツバ殿が好きだったのか!」

 KYで超鈍感な近藤だけが朗らかに笑う中、周りの頭は?で埋め尽くされていた。

「・・・ミツバさん、沖田にそっくりだったよな」

「・・・外見だけで中身は正反対だったけど」

「・・・美人で気立てが良くてお淑やかで、理想の大和撫子だよな?」

 其処まで言って、皆は無言で沖田を見つめた。

じぃ―――――――っ。

「なんでぃ、何か言いたいことあンのかァ?」

 無言で見られていた沖田から銀の残像が奔った。

キン。

 沖田の周りに立てかけてあった空き瓶の頭が、奇麗な切り口を見せて畳に転がる。
 にっこりと、天使の顔をした悪魔が笑う。

「何か問題でもあんのかィ?(手前の頭がこの酒瓶とおんなじ運命辿りたいなら、遠慮なく言いな)」

「「「「いえ、何でも御座いません!」」」」

 すっかり酔いが覚めて固まる周りを置いて、悩ましげに沖田がため息をつく。

「はぁ、おれはこんなに可愛いのに、なんでアイツはなびかねぇんだィ」

「「「「(可愛いけど、腹黒いからだっ!!!)」」」」

「何が悪いんだろうなァ。おれは土方さんを殺したいほどアイしてんのに」

「「「「(その愛情表現に問題があるんだよ!!)」」」」         




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