その他

□ふぇいす
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 その日、ライナ・リュートは仮眠室で惰眠をむさぼっていた。
 三日間の徹夜明け、お昼を少し過ぎた頃である。
 ライナの寝ている寝台の本来の持ち主は、5日の徹夜にもかかわらず公務で貴族と謁見中。二人で寝ると多少窮屈な寝台を独り占めして、ライナは至福の時を満喫していた。
 いつもは安眠妨害をしてくるフェリスは怪しげな本の新刊を買いに商店街に行っている。

「幸せ・・・・・、もう寝れない・・・いや、寝る・・・」

 どうやら夢の中でも寝ているらしい。
 よほど、寝ることが好きなのだろう。

 内政担当のカルネから、シオンの仕事の手伝いに正式な給料を出そうかといわれたときも、

『おれ、金よりここの仮眠室の寝台、大きくしてくれたほうが嬉しいな〜。二人で寝ると窮屈で、窮屈で。あ、最高級枕も、もう一つくれたら最高。執務室と仮眠室の扉を防音にして、鍵(シオンと書類の防止用)まで付いたらホントに申し分ないのになぁ』

と、のたまって、いろんな意味でローランドの中枢を震撼させていた。
 そのせいか、ライナが来ている時は執務室付近にはシオンとフェリス以外、ほとんど人気がない。エスリナとカルネから、『お二人の仲を邪魔しちゃダメ!』と厳命されているそうな。

 もちろん、ライナは自分の愛する睡眠を万全の体制で確保することしか考えていない。

『もっとお前が(仕事をするために)ここに泊ってくれるのなら、考えてもいいよ』

と、笑いながらシオンが応えた為に(確信犯)、影で王の愛人(?)と囁かれている事は、本人には知らぬが仏である。(その瞬間、フロワードの暗殺リストナンバー1に“ライナ・リュート”の名が刻まれたことも知らないほうが幸せだろう。)

 何はともあれ、昼寝中の仮眠室に少しずつ複数の気配が近付いて来る。



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