突発連載
□罪人縋りし蜘蛛の糸
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洞窟の入り口から三歩。
片方だけの紫の瞳が俺を写して嗤う。
「俺と同じだなァ」
「高杉・・・晋助・・・!!」
初めて見るが、間違え様もない。
派手な着物に包帯を巻かれた隻眼。
見ているものを狂わせる、異様な妖気。
敵味方問わず、常軌を逸した気配に気を飲まれ、呆けたように突っ立っている。
血が上った状態の俺ですら、一瞬頭が冷えた。
のるかそるか。
俺の今の状態では斬られる公算が高い。
だが、此処で逃せば、次はないだろう。
何よりも、身のうちの獣が急かすのだ。
あの強い獲物が欲しいと。
「高杉ィィィィィィイイ!!」
一足飛びに斬りかかる。
高杉はまるでこちらの動きが読めているかのように、平然と仕込み杖で俺の攻撃を捌く。
ガキッン!
「血に飢えてんなァ、真撰組副長殿?」
「ざけんなッ!そっちこそ腹が減って餓死寸前じゃねーのか。何企んでやがった?」
鍔迫り合いで、弾かれ間合いを外す。
正直、やりにくいことこの上ない。周りに高杉以外の敵はいないが、ヤツの剣は変幻自在で、ちょっと気を抜くと
「クッ?!」
誘いこまれてわき腹を切られた。
全く動きが予測できねー!
「甘ェなァ」
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