突発連載

□罪人縋りし蜘蛛の糸
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『ごめんね、そーちゃん。ごめんね・・・』

 おれのなかで、最も古い記憶。
 姉上がおれを抱き抱えて泣いている。
 おれはただ意味もわからず、灰になった母親を見つめていた。
 父は攘夷戦争にて行方不明。
 元々身体が丈夫でなかった母も、おれたち姉弟を残して逝った。

 おれが5才の頃だ。

『おねーちゃんが守るから、大丈夫だから』

 自らに言い聞かせるように、おれを抱いた腕は細く果敢無く。
 大切な家族を、これ以上何物にも傷つけさせないと、幼心に誓ったのだ。



場面が切り替わる。



『お前が沖田総悟か?』

 父の知り合いだというその人は、子供の俺にはひどく大きく恐く見えた。だが、

『よく来たなぁ〜総悟っ!』

 向日葵のように温かで、裏表ない笑みをすぐに好きになった。

 大切な守るべきものが、二つになった。

『俺ァ、言葉で語ったり考えたりするのがどうにも苦手でなぁ。相手を見るなら剣をみる。剣は嘘を付けねぇ。戦っているときが一番相手を理解できるんだ』

 愚直なまでに直向きな剣。

『刀の重みは、己の守りたいモンの重さだ』

 だから強くなろうと頑張った。


場面が切り替わる。



『お前はミツバと残れ。
 足手纏いだ』

『頼む。お前の剣は、人を斬るための剣じゃない』

 いやだ。
 なんの為におれは強くなったんだ。

『十四郎さんをよろしくね、そーちゃん』


場面が切り替わる。


『俺を嫌え。俺を憎め。
 全部の罪を引き受けてやる』

 アンタは――狡い。

 愛しさも憎しみも絡まり合って解けない。いっそ嫌ってしまえたら、どれほど楽か。

 感情が渦巻いて深遠へと落ちていく・・・。



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