突発連載

□罪人縋りし蜘蛛の糸
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 一歩ごとに痛みに引き攣る体を無理やり動かして、地下牢に降りる。
 鉄でできた扉には見張りも居らず、“ご自由にどーぞ”のメモ紙と一緒にペタリと鍵が貼りつけてある。

「いくら自主監禁?だからってテキトー過ぎだろ」

 あきれて扉を開くと、

「・・・・・・・。」

「五光ッ!!」「赤札ッ!!」
「やれやれぶっ潰せ!!」「おーい酒が足りねぇぞ!!酒持ってこーい!」

 ・・石畳には茣蓙が敷かれ、CDコンボが笑○亭の落語を垂れ流し、酒瓶、スナック菓子、雑誌などが散乱していた。
 その中心で、4〜5人の隊士と格子を挟んで、あいつがいる。
 ・・・マダオの合宿場かよ。

「テメー等・・・仕事はどォーした!?」

 低い声で唸るように脅すと、花札を捲っていた隊士たちが文字通り飛び上がった。

「ふ、副長っ!!」

「「ゲッ!!!」」

「ゲッとは何だ!サボってんだな!?」

 怒鳴りつけると、気のない様子で総悟が顔を上げる。

「あれ〜ィ?土方さんの亡霊ですかぃ?」

「生きとるわ!!ナニコレ!珍しく殊勝に謹慎してっから見に来てみればこのザマかよ!!」

「ちがいやす・・・モゴ・・・俺ァ・・モゴ・・・本気で反省して・・モゴ」

「口の中から団子を出してから喋れ!!
 つーか反省の色皆無だろッ!!まだ仕事してるほうがマシだ!!」

 気落ちしているかと心配した俺が馬鹿だった。
 総悟と言い合っている間に、花札を片してすたこら逃げ出そうとしていた隊士にも言い知れぬ怒りをぶつけてやる。

「河野・・隊長いなくて暇なら一番隊は便所掃除だ・・覚悟しとけ」

「し、失礼しました〜」

「オイ、今度は賽の目持って来いよー!」

「承知ッ!」

「そ・う・ごっ!!!」

 扉が閉じられ、俺の叫びも届かないだろう。

 二人きりになるとやけに静かで、何を話せばいいか迷う。

「怪我は、大丈夫ですかィ」

 冷たい部屋に響く小さな言葉に僅かなぬくもりを感じた。


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