その他

□ふぇいす
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「何でお前は、あそこで止めたんだ!」

「ちょっと、クラウ先輩っ・・・。」

 しかも、なにやら不穏な雰囲気である。

「・・・なんだぁ、シオンの奴もう帰ってきやがったのか・・・。」

 寝台に転がったままやる気のなさそうにライナは呟いた。寝台の持ち主がこの国の王で、徹夜5日目で、ライナより疲れきっていたとしても、寝台から起きて迎えるつもりはないらしい。

「あの場では、ああするしかなかっただろう?もう少し落ち着いて考えてみろ、クラウ」

 5日間の徹夜を全く感じさせない、覇気に満ち、自信に溢れた声がライナの元に届く。
 開けっ放しの仮眠室の扉から見えたのは、赤毛長身の青年と金髪で小柄な少年。
 そして、眩いばかりの光を具えた、王だった。
 銀糸の連なる髪と太陽の金の眼が、寝台に転がるライナ気づく。

「おはようライナ。主を差し置いて、よく眠れたようだね」

「誰が主だ・・・・」

「もちろん、このローランドの英雄王、シオン=アスタール様に決まっているだろう」

「俺を3日間も眠らせてくれない、極悪非道の魔王シオン=アホターレめ・・・・」

 しかも自分で英雄王なんていうか、ふつう。
 ぶつぶついいながらもライナが寝台から降りる気配は皆無。
 いつもならここでシオンが『それほど寝たのなら、あと一ヶ月は寝なくてももつな』とか恐ろしいことを言い始めるのだが。

「おい待てよ、シオン。本当にあのまま言われっぱなしで馬鹿貴族どもを放逐するつもりじゃねーだろうな。」

 赤毛の青年――クラウがシオンに詰め寄る。
 何だかかなり怒ってるみたいだな、と興味のないライナは半眼のまま見ていた。

「お前、何でなんとも思わないのか!」

「なんとも思ってないわけはないだろう」

「じゃあなんで・・」


「何であそこで殴らせなかったんだ!」


 今にもつかみかかりそうなクラウをカルネが必死でなだめている。



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