その他

□Geometry lover1
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 端整な顔でじっと見つめられると、何もしていないのに悪いことをしたような気になる。

「うーん、起こされたときはイヤだったけど、起きた今は感謝してるかな?」

「そうか」

 ロイディが何だかホッとしたように見えて、つい笑ってしまう。
 そんな機能ついているはずがないんだけど。

「何故笑う?」

 生真面目なロイディ。そんなパートナーを僕はついからかってしまう。

「ロイディが好きだからだよ」

「私が好きだとミチルは笑うのか?」

「凄く好きだと思ったときだけね」

 そういって、僕はベットの脇に立っているロイディに抱きついた。
 ロイディは窓を開け放っていて、ベットから離れると少し肌寒い。
 肩を震わせた僕を見て、ロイディは背中に腕をまわして抱き込んでくれた。

「ミチル、服を着なさい。風邪をひく」

「大丈夫・・・・あったかいね、ロイディ」

「私に表面放熱システムは付いていない。ミチルより冷たいから風邪をひいてしまう」

「でも、あったかいんだ・・・心が」

「心?」

「そう」

「ミチル、ウォーカロンに心はない」

「ううん、あるよ。僕が命令してないのに起こしてくれたり、コーヒーを用意してくれたり、僕のことを心配してくれたりね」

「それは、日常の頻度と記録データから導き出された憶測であって、心ではない。
 ウォーカロンはヒトのために作られた。だから主であるミチルの為に働く。私の行動原理は心を軸としていない」

「じゃあ、今抱き返してくれているのも、僕のためなの?」

 ロイディは僕を抱きしめたまま押し黙る。
 自分の行動に明確な論理が見つけ出せないのだろう。

「すまない」

 そういって離れようとするロイディを僕は手を掴んで引き止めた。

「なんで?僕は凄く嬉しいよ、ロイディがこうしてくれること。
 本当は我侭な話なんだろうけれど」

「ミチル、話より先に服を着て」

「はいはい」

 ロイディが手渡してくれた服を羽織る。
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