その他
□再会
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「まさか州牧になっていたとはな」
漸く王都へきた用事を済ませ、王様の室からでると、壁ぎわに立っていた静蘭が声をかけてきた。
宿直の代わりだろうか。
気配は消えていないし、別に聞かれて悪い話はしていないが過保護なことだ。
あの王なら凶手にも殺られたりしないだろうに。
「俺もまさか成れるとは思わなかった。鴛洵じーちゃんに感謝だな。俺、準試にも落ちてたし」
能天気な俺の言葉に、静蘭の顔が引きつったのが暗闇でもわかった。
「茶太保も恐ろしい人事をしたな」
「ひでー。俺、結構頑張ったんだぜ?どーしても叶えたい夢があって」
「夢?お前なら何でも自力で叶えられるだろう」
首を傾げる静蘭の肩から、銀の髪が流れ落ちる。
その様さえ、呼吸を忘れるほど見惚れてしまう自分がいる。
あの時行き場を無くした焔が、不意に呼び覚まされる。
「・・・お前、昔よりずっと、綺麗になったよな」
逢った頃の人形のような表情とは段違いの美しさ。
理由はわかっている。
邵可と秀麗のおかげだ。
けれど、自分の知らないところで、傷を癒し笑顔を取り戻し美しくなった静蘭に、心が灼ける。
昔は触れたくても許されなかった手を、そっとその髪に伸ばしてみた。
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