むかし、むかし..

□仕事か?家庭か?(前編)
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そんな感じで警備の仕事を辞めてすぐ、今度選んだのはまたも介護ではなく、今回はパチンコ店だった。


決めた理由は時給が良かったから。なんせバイトで入ったのに今よりも圧倒的に給料が良かった。



入った時、同期入社でタメの男と一緒で自然と仲良くなっていった。ちょうどこの頃、唯一の親友は埼玉に仕事で引っ越してしまう。

恐らく、唯一の親友が側から離れた事で性格の歪みが止められなくなったんだろうと今は思う。


そのパチンコ店は、早番と遅番に分かれていて俺は遅番勤務だった。

遅番は夕方4時から12時までで、仕込みの時間も手伝っていけば2時は過ぎるような勤務だった。


初め配属されるのがパチンココースで、仕事が出来ると認められ、なおかつ目押しって言う技術を持った人間はスロットコースに回される。


そのパチンコ店には社員ランクってのもあって、研修中はDランク、研修明けでCランクに上がる。ランクが一つ違うだけで時給は100円違うんだから大きな差だった。


パチンココースの仕事は灰皿を交換したり、当たってるお客さんに箱持って行ったりがメイン。だいたい灰皿交換が主な仕事だった。

バケツに吸い殻を捨て、雑巾で拭く。そんなのの繰り返し。




そんなある日、吸い殻たまったバケツの中に灰皿を落としてしまう。手を入れて取ると手を汚すし、かといって取らなければ灰皿足りなくなるし、困っているとサブリーダが歩いてきて「どうした?何かあったか?」と尋ねる。
「すいません。灰皿バケツの中に落としちゃって...」


言い終わるか終わらないかの内にサブリーダはバケツの中に手を入れて灰皿を拾ってくれた。嫌な顔一つせず、笑顔で「こんで大丈夫。」と言って手を洗いに行った。


この時俺は〔人の為に自分が汚れる事を構わない〕って事に感動し、今でも忘れず介護に活かしている。




こんな感じでパチンココースでの研修の日々を送り、研修が明けた頃から仕事に没頭するようになっていった。


そしてスロットコースに入りたい、出世したいって気持ちが大きくなって行く。

勿論、最初の内は良い意味で熱くなってたんだろうと思う。



次のページに続く。
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