むかし、むかし..

□悪魔の罠
1ページ/3ページ

結局また暴力を使って仕事を辞めてしまった俺は、また次の仕事を探していた。


この頃から少し、彼女への考え方が変わってくる。流石にもう嫌がられるパチンコ店は止めようと思い、次の仕事を探していた。
選ぶ条件は彼女が休みだった月曜日が休みの会社。当たり前だが、正社員でそんなトコは中々無い...




1ヶ月以上仕事が無く過ごしてると、求人広告に営業の募集があった。なんと月曜日休みで、給料は25万円。直ぐに電話を掛けた。


面接に行くと、五分もしない内に採用が決まった。

その時の支店長は茨城県の人で60歳に近い人だったが、優しくて従業員を気遣ういいおじいちゃんって感じの人だった。





しかし、入った初日に驚かされる。朝礼がまるで軍隊のようだった。とにかくでかい声を出し、本日の目標を叫ぶ。仕事内容は、営業と言っても住宅リフォームの訪問販売だった。


しかも、壁塗装屋根塗装がメインだったが、普通の家を塗装すると大体100万から150万はかかる工事だ。当たり前だがこんな仕事中々注文取れるわけが無い、だが取れないと気合いを入れるという名目で殴られる。だから皆プレッシャーと戦いながら仕事をする。





そこで働いてた人達も普通の人はいなかった、皆何かしら問題を抱えてる人達ばかりだった。元暴走族や現役のヤクザ、歳をとってからリストラされた人などなど色んな過去を持ち、全員に共通していたことは多額の借金を背負っているという事だった。だからこそ、普通の会社じゃ働けない様な人の集まりみたいな場所だった。


リフォームの営業は大体どこでも歩合給で、仕事を取ればそれこそ月給100万も夢じゃない。だから借金を返すためにその仕事を選ぶ人が多かった。





仕事を取らなければ給料泥棒だと殴られ、借金の取り立てに怯え、精神的にも病んで行くが仕事は外回りの営業だった為、皆パチンコに行くというどうしようもない会社だった。



ただ入ったばかりの俺は、そんな事に気づかずに真面目に一件一件回る日々が続いた。







次に続く。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ