倉庫

□健康管理人
1ページ/5ページ

 
 
 
 
「大変! 大変! 亜子いる!?」


 けたたましい音ともに早乙女ハルナことパルが頭の触覚を揺らしながら保健室の扉を叩いた。
 何事かと小走りにドアを開けると、汗だくのパルの背中に危なかっしく乗っている華奢な体。
 前髪が長く、顔がほとんど見えないけど本屋ちゃんだとすぐ分かった。


「あちゃー、本屋ちゃんまた貧血?」


 本屋ちゃんこと宮崎のどかはしょっちゅう貧血で倒れるため保健室の顔馴染みだ。
 そんでもって看病するのはいつもウチ。よく話し相手もしたりする。
 教室内ではあまり喋らないけど秘密の友達って感じや。

 今回もいつもの貧血かと思ったけど様子がいつもと違うようだ。


「いえ、違います。階段から落ちたのです」


 ドアからひょこりと顔を出して説明したのは夕映。
 いつも通りの落ち着いた低い声だったが、おでこにある細い眉は元気無く垂れ下がっていた。
 それを見てウチは急いでベッドのシーツを整える。


「んじゃ、とりあえず本屋ちゃんベッドに寝かしてや。足捻ってないか見るから」


 パルは本屋ちゃんをベッドに寝かせるとウチに向かって「お願いね」と、手を合わせて頭を下げた。
 軽く相槌を打つと本屋ちゃんの靴下を脱がす。


 うん、大丈夫。腫れてないみたいだし、痛いのは頭を打ったぐらいだ。
 とりあえず大事にはならなくてホッとした。



 ――それにしても……


   ……本屋ちゃんキレイな足――。



 細く、雪の様に白く、いつも隠れていた妖艶な足が露わになる。
 同性すら魅了する素足に思わず生唾を飲み込んだ。


「――子!――亜――!」


 足首にかける滑らかなカーブ。指一本一本が美「――コゥラ! 亜子!」



「――ひゃいっ! 大丈夫大丈夫! 心配あらへんよ!」





 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ