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□さらば、友よ
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「最近、記憶が曖昧なんだよね」



 元気娘代表! と、言うべき人間、明石裕奈はそんなあらぬ事を呟くと不意に顔を横に向けてから頬杖をつく。
 そんな裕奈の顔、まるで中学生がよくかかる病気にヤられた様な顔を見ては目を細くして笑う人物、


「なんだい? 私に言っているのかい?」


 朝倉和美はカメラを弄くっていた手を止める。

 わざわざ座ると寒気が襲うと評判の相坂さよの席に座ってまで和美に相談とは何事だ、と。
 裕奈はボリボリと後頭部を掻くとめんどくさいと言いたげに椅子の上であぐらをかく。一息。


「アンタしかいないだろーが。で、どう思う?」

「痴呆症じゃなーい? あはは痛い痛いそんな殴らないでマジごめんなさい」

「真面目に聞いてんだけど」


 ふて腐れて再度頬杖をつきながら溜め息。確かに明石裕奈は重症だった。



 今日は酷かった。



 体育の時間では得意のバスケットボールのハズなのにボールを顔面キャッチで鼻血。悪い意味で勇者扱い。某保健委員がぶっ倒れる。
 英語の時間ではでは某子供先生に英文を読むよう指されると、何故か国語の教科書を読み始める。某子供先生涙目。

 
 今日一日を思い浮かべると、確かに酷いと苦虫を潰した様な顔で和美は頷く。
 その後フルフルと頭を振ると、お医者様がよく言う「残念ながら……」という表情で裕奈に告げた。


「やっぱ、老化が進んでゴメンゴメンごめんなさい勘弁してください」


 撃沈。裕奈は和美への攻撃を飽きるまでやると、あ゛ーう゛ーと、本日二度めの濁音混じりの溜め息を漏らす。


「まぁまぁ、腐るなよ」


 和美の言葉に相当参っているのか、裕奈はうつ伏せになり手をシッシッとはらうとそのまま動かなくなったのだった。






 
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