花の栞

□世界が変わる少し前
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月明かりの冴える夜。
一輪の花を見つめてる。

優しいようで強い芳香を放つ深紅の薔薇。
柔らかな手触りの花びらと、すらりとした茎を被う鋭い刺。

厳しさと優しさ。
嫌味と助言。

薔薇は、彼 そのものかも。


花言葉の意味は知ってるの。
だけどその送り主の心にあるのはそんな言葉じゃないって…判ってる。

違うよね?…きっと。


彼に会えるとドキドキするの。コンテストバトルを競う緊張感も素敵。
何度もぶつかって反発もして、だけど彼に『ライバル』と認めてもらえたことが…一番嬉しい。

貴方のことを思ったの。
でもそんな『意味』じゃないのよ。
だって貴方は目標なの。対等でいたいと思う人なの。
それが、
鋭い視線がふと緩んで優しく包まれたと感じたら、彼が向けた視線の先に、私の心はさらわれた。
不思議な感覚。これは何?

貴方のことを思ったの。
そんな『意味』じゃなかったのよ。

だけど思いは変化するかも。
咲く薔薇の花に託す詩(うた)のように。

もしかしたらいつか私の胸に、薔薇の蕾が芽吹くかも。

だから、
同じフィールドに立つ為に、私は行き先を決めたの。
その先にあるのはもしかしたら、リボンだけじゃないのかも。


月明かり過ぎて陽が上ったら、私は私の旅に出る。

それまではちょっと、おやすみなさいかも☆

fin.
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