らき☆すた【短編】1号館

□青い空の幸せ論
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窓の外ではもうすでに役割を終えた桜の花が舞っている。
ヒラリヒラリとあの軽さのせいか、はたまた空気抵抗のせいなのか、ゆっくりとそれこそ感慨深く舞うピンク色の花びら。
「ねぇ、かがみ」
窓の外から視線を外しながら、手に持っていたラノベを閉じて隣りに座っている友人の名を呼んだ。
「ん?」
目線はそのまま読んでいるラノベに向きながら返事だけが返ってきた。
座っているせいか、目の高さはそんなに変わらなくて、いつも付けている深紫色のリボンが目のすぐ上にくらいに見えた。
「………幸せ?」
私から放たれた単語にピクッと反応したかがみがゆっくりと私の方を向いてくる。
アンタ、何言ってんだ?とでも言いたそうな目で私を見つめてくる。
何ってそのままの意味だよ?
「えっと…こなた、もう一回言ってみて」
「幸せ?」
聞こえてなかったのかな、とさっきよりも強めで同じ言葉を繰り返した。勿論疑問系だから語尾はしっかり上げて。
「それは…どういう意味で?」
「そのままの意味だよ」
「そのままって…そりゃあそうだろうけど」
と顎の下に手を置いてどっかの名探偵のように考え込むかがみ。
真実はいつも一つ!!!
あ、じっちゃんの名にかけての方かな。
「んー、不幸ってわけじゃないから幸せなんじゃない?」
かがみらしい答えだね。
まぁ、かがみから『うん、幸せ』なんて答えが返ってくるとは思ってなかったけど。

「そう言うアンタはどうなのよ」
「私?」
特に深い意味もなく、ただなんとなく聞いてみただけなんだけど…『今幸せ?』なんて聞かれて『幸せ』って返せる人はどれだけいるんだろう。
きっと石油王とかどっかの大富豪くらいだろう。
いや、でも結構ニートとかの人の方がある意味幸せなのかも。差別とか蔑みじゃないよ、勿論。
ん〜、と喉を鳴らしながら考えてみるけど結局結論は出ない。
私は幸せなんだろうか。
社交性0で友達の数が片手に収まるくらいしかいなかった私にも今では結構友達が出来たし。
バイトだって楽しいし、家に帰るとお父さんだってゆーちゃんもいる。
それに…
チラッと考えてるふりをしながら横にいるかがみを見る。
それに…好きな人だっている。
「幸せ…かな、多分。おそらく」
「どっちよ」
私の答えに呆れたように笑うかがみ。
きっとどっちでもいいんだよ。
こうしてなんでもないことで笑って、傍に大切な人がいて。
私は幸せだっ!!って大っぴらに宣言できるほどじゃないけど…
きっと私は幸せなんだ。
だからかがみにも幸せだって感じて欲しい。一緒に幸せだって感じたい。
だってほら………


幸せって二人で作っていくもんじゃん?




 

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