らき☆すた【短編】1号館

□大切な言葉
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アル晴れた日のコト…じゃなくて、ある休日。
私は、こなた曰く『宿題の掃除』の為、朝早くから泉家にお邪魔している。

てゆーか、あんたの宿題なのになんで私がこんな朝っぱらから呼び出されなきゃならないのよ…

「そう言いながらも律義に来てくれるかがみ萌え♪」
いつもの猫口に左手を添えながらニヤニヤ笑いながら言うこなたに、グッと口ごもる。
確かに、確かによ。
普段の私なら『アンタが来い』の一言で一蹴したはずだけど…
今日は状況も事情も違う。


『今日お父さんもゆーちゃんもいなくて…だから、ね?』

先程の受話器ごしに聞こえるこなたの声を思いだして、ボッと顔が熱くなる。
付き合ってる男女―いや、正確には女女だけど―が密室で、しかも二人きりって言ったら…………ねぇ?

って、何考えてんのよっ、私…!!!

とにもかくにも、好きな人と家に二人きり…なんて状況に期待しないっていう人がいるなら是非ここに来て欲しいわね。
今期の市民聖人君子賞を堂々の1位で受賞させてあげるわ。

「…がみ……かがみ?」
「へ?!…って、ちょっ…!」
市民聖人君子章の勲章ワッペンのデザインはなににしようかしら、なんて意識を飛ばしていた私を、いつの間にかキスしそうなくらい近い距離に移動していたこなたが現実に引き戻した。

って、か…顔が…近っ…!!

深いエメラルドグリーンの瞳、その斜め下にある泣きぼくろ、そして…
プニプニと柔らかそうな、こなたの唇が目と鼻の近くにある。

キス……したい…、かも。

かも、なんてのは勿論妄言。
ぶっちゃけ…したい。

どちらかがちょっとでも動けば簡単に唇が触れ合うような距離に、私の心臓がこれでもかっていうくらい収縮運動を繰り返している。

「かがみ…」
少し熱を持った声音でこなたが私の名前を呼ぶ。
その吐息にさえも反応してしまう私にゆっくりと目を瞑ったこなたの顔が近付く。

――キス、される…
と反射的に私も目を瞑って次に訪れるだろう唇の感触に備える。
………
………………
…………………
…………あれ?
一向に訪れない感覚を不思議に思って右目を少し開けてみると、ニヤニヤしたこなたの口元が見えた。
「キス、されると思った?」
「…っ、なっ、ちが…!!」
図星をつかれ、思わず後ろにのけ反ってしまう背中をギュッと抱きしてられて、耳を甘噛みされた。
「あっ…!ちょ、なにす…んんっ?!」
恥かしさのピークに達していた私がこなたに文句の一つでも言ってやろうと口を開いた瞬間。
こなたが私に口付けた。

「…んっ……」
啄むようなキスを繰り返した後、つつっと下唇を舐められて、ジン…と下半身が疼いてしまう。

コイツ…ずるい。

「ぁっ…んぁ…」
ペロペロと私の唇を堪能しているこなたからの刺激にピクッと肩が反応してしまう。
いじらい刺激に物足りなくて、無意識に舌を伸ばしてしまうと、ピチャとこなたのそれに絡みとられた。
クチュクチュという唾液の絡まる水音が私をどんどん興奮させていく。

「…んはぁ、…こな、んんっ…」
気持ちよくて、でも胸の奥から突き上げてくる物足りなさをどう処理していいのか分かんなくて、思わずこなたの名前を呼ぶ。

「んっ…かがみ…」
ぎゅうと後ろに回されたこなたの腕が私の髪を撫でた。
髪の毛には神経が通ってないはずなのに、なんで好きな人に触られるとこんなに心地いいのだろう。

「かがみって、髪撫でられるの好きでしょ?」
「えっ…?」
「なんか気持ちよさそうにしてるから」
むふふ、と笑うこなた。
こいつ…なんでこーゆーことには目敏いのよ。
ニヤニヤといつもの猫口をしている様子を見るところ、私の思想なんてこなたにとってはどっかのドラマのヒロインの如く、まるっとお見通しなのだろう。

だけど、私の口が素直に「こなたに触られてるからよ」なんて言うはずもなく…

「べ、別にそんなこと…ないわよ」
なんて言ってしまう自分の意地っ張りさに内心溜め息がでる。
「ふふー、やっぱりかがみはツンデレだねぇ♪」
「だから私はツンデレじゃないって何回言えば…」
「ツインテールにつり目、しかも意地っ張りときたら…ツンデレなのだよ、かがみん」
ふふん、と胸を張るこなた。
なんでアンタが偉そうなんだ?

「そーいえばさぁ…」
相変わらず目と鼻の近くにいるこなたが、私の髪をグリグリと指先で弄りながら口を開いた。

「なんでかがみっていっつもツインテールなの?」

……なんか前にも同じ事聞かれた気が。
デジャブか?
なんて既視感に苛まれている私をキラキラと目を輝かせながら見るこなた。

そんな顔されたって期待されるような話じゃないぞ?

「いいじゃん、いいじゃん♪ささっ、話して話して」

こなたに促されるように私は忘れもしない、あの出来事を思い出す。

あれはそう、私が幼稚園の年長に上がる時だ。





 
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