らき☆すた【短編】1号館

□向日葵の向く方へ
1ページ/2ページ

ジリジリと耳に残る蝉の鳴き声を聞きながら、さっきまで溢れんばかりの氷が入れられていたはず麦茶を一瞥してみる。
この身を焼き付けるような熱さは思ったよりも深刻で、扇風機なんかでは太刀打できるわけもなく、じんわりと背中を這う汗にますます不快感は募っていく。
そう季節はすっかり夏。
数日前にバレンタインを迎えたばかりな気もするけど…
そんな事は今の私には関係ない。
「あーつーいー」
涼もうと縁側で寝転がっているこなたの声に返す元気すらない状況なのだ。
「あ"ーづーい"ー」
ゴロゴロと転がりながら私に視線を向けてくるこなたに、溜め息を付きながら何?という意味を込めて首を曲げてみる。
「水まきしよーよ、かがみん」
「……なんの為に?」
「涼むために」
はぁ、と息をはき終える前に目の前にある机に倒れ込む。
ついさっきも同じやりとりしたような気がする。
確か「縁側出よーよ、かがみん」とか言ってたな。理由は勿論、涼むために。
その結果は…言うまでもないわね。
「これホース?」
「勝手に人の家の物置きを物色すんな」
「んで、水道に…合体っ!!」
話を聞けとか合体じゃなくて装着だ、なんてつっこみを入れる事さえコイツには無意味んだろうな、なんて考えながらホースを振り回すこなたを見つめる。
てゆーか、なんでコイツはこんなに元気なんだ。
まぁ小さい頃、合気道をやっていたらしいし、足も早いから基礎体力はある方なのだろうけど…
そんなどうでもいいことを思いながら、今日何回目かの溜め息を吐こうと生温い空気を吸った瞬間。
「ほら、かがみも水まきー!…あ」
「ちょっ…」
バシャという水音と冷たい感触が体全体を襲った。
ポタポタと前髪から垂れる水滴が、熱をもった皮膚に触れて、少し涼しい。
って、そうじゃなくて…張り付いてくる前髪をどかすと、やっちまったゼという顔をしたこなたが見えた。
うん、やっちまったわね。こなた。
「え、えーと…涼しくなった?」
「うん、かなり涼しくなったわ」
自分でも褒めたくなるくらいの満面の笑みを浮かべながらこなたに近付く。
「あの、えっと…かがみサン、顔が怖いデス」
「ねぇ、こなた」
「な、なに?」
「さっき熱いー、って言ってたじゃない?」
ゆっくりと、でも確実にこなたを追い詰める私。
水をぶっかけられたんだもん、きちんと仕返し…じゃなかったお返ししなきゃ、ねぇ?
「どりゃぁぁぁぁぁっ」
「ひでぶっ!!!」
こなたから奪ったホースの先を握り、ターゲット・オン。
目標は勿論、こなたである。


「うぅ…ずぶ濡れぇ」
「元はと言えばアンタのせいでしょうが」
たっぷりと仕返しをした後、濡れた服を乾かそうと縁側に寝転ぶこなたと私。
夏の日差しに温められた服がぬるくて気持ち悪い。
結構動いたから汗もかいたし…
「ねぇ、かがみ」
「ん〜」
横で転がっていたこなたが上半身を上げて私を見つめてくる。
額に乗せていた左腕を退けてこなたの方へ顔を向けると、いつも私をからかうようなニヤニヤした顔をしたこなたがいた。
うっ、嫌な予感…。
「な、なによ」
「服、気持ち悪くない?」
「へ…?う、うん」
予想外の事を聞かれて焦る私にニマーと口を更に猫口にしてこなたが続ける。

「じゃあ、私が乾かしてあげるよ」

え?という声を発する前にこなたが私に覆い被さってくる。
「え…ちょ、なにやって…んんっ?!」
言い終える前に唇に触れてきたのは柔らかい感触。
目の前には目を瞑ったこなたが見えて、キスをされたのだと気付くのに数秒かかってしまった。
「こな、んっ…ちょ、…っ」
角度を変えて啄むようなキスをする刺激がもどかしくてこなたのタンクトップの袖をクイッと引っ張ると、チュと音を立ててこなたが唇を離した。
「かがみ」
耳元で囁かれるこなたの声がくすぐったい。
「…こな、た」
つっかえながらもこなたの名前を呼ぶと、こなたは嬉しいそうに頬を緩ませた。
こいつ…
体も中身も私より全然子どもみたいなのに。
なんでコイツの笑顔には勝てないのだろう。
ペチャ、と粘着質の音がしたと思うと首筋に熱い感触が広がった。
「あぅ…こ、なた…誰かに見られ…んぁっ」
首筋から鎖骨へと降りてくるこなたの舌に翻弄されながら、理性の私がここは私の家なのだと脳に訴えてくる。
つかさだっているのに…
「ふふ〜ん♪」
ペロッと自分の唇を舐めるその舌がとても妖艶で、高鳴る胸の鼓動がうるさい。
「それは誰も見てなかったらおkてことカナ?」
「なっ、ちが…はぅっ!」
こなたの右手が私のシャツを捲り、つつっとおへそを指でなぞる。
「んっ、こな…あっ、口で…んくっ…外すなぁ」
プチプチと器用に口でボタンを外していくこなたに反抗の声も上げてみるけど、お腹をなぞっていた手が私の胸のてっぺんに触れてくる度、切なさが襲ってくる。
「んはぁ、あぅ…んんっ」
「かがみ、気持ちい?」
囁くようなこなたの声に聴覚まで犯されている感覚になってくる。
こなたが触れるところから伝わる熱さは、きっと夏のせいじゃない。
声を我慢しようと唇を噛むけど、すぐにこなたのそれに覆われる。
「かがみ…」
少し息の上がったこなたの口から漏れる吐息が、私の皮膚から心臓の方へ伝わり、かぁと顔に熱を帯びてゆく。
「ひゃぁ…、あぅ、んっ、こ、なたぁ…」
こなたの手が胸の中心を弄る度、ゾクゾクとした電気が背中を這って下半身がジン…と疼くのが分かる。
びしょ濡れだった服が脱がされ、熱いこなたの舌が皮膚についた水滴を舐めとる。
―ペチャ、ピチャ…
あんなに激しく鳴いていた蝉の声すらどこか遠く感じる。
―んっ、ペロッ…
聞こえるのはこなたの吐息と私の体を舐める粘着性の音だけだった。
お腹を舐めるこなたの舌がくすぐったくて、制止しようとこなたの方を見ると…
「クチュ…んはっ、ん、ちゅ…」
「…………っ!!」
上目遣いをしながら音をたたて私の体に舌を這わすこなたが見えた。
それが私の大事なところを舐めているようで、かぁと熱くなる頬を見られたくなくて思わず強く目を瞑る。




 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ