らき☆すた【短編】1号館

□見上げる空の向こうには
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それから数日、かがみが私を避けているのは嫌でも分かった。
勉強をするからと朝早く登校したり、昼休みも忙しいからと私たちの教室に来なくなっていた。
「かがみさん、どうしたんでしょうね」
「うん、なんか寂しいよね」
事情を知らないつかさやみゆきさんの会話が私の心臓をチクチクと痛めつける。
いや、違う。全部私のせいなんだ。
いてもたってもいられなくて、かがみの教室へと向かう途中、前から歩いてくるかがみに会った。
「あ…」
なんて声をかけようかと悩んでいる私と目があった瞬間…
かがみは思いっきり私から顔を背けた。
初めてされた、かがみからの拒絶。
なんだかんだ言いながらも宿題を見せてくれるかがみ。
愚痴を言いつつも一緒に寄り道に付き合ってくれるかがみ。
こなた、と私の名前をよんでくれるかがみ。
私がいくら馬鹿なことをしても、拒絶されたことなんてなかった。
私は甘えていた。かがみの優しさに思いっきり甘えていた。
だから、呆れちゃったのかな。
だから、怒っちゃったのかな。
だから、私を…避けるのかな。
だったら謝らなきゃいけない。謝ってまたいつもの様に私のそばで笑っててほしい。
そのためだったら、私は自分の感情を抑え込む。かがみを好きだという感情を抑えて友達として…ただの友達と、して。




「わ、私ね…謝ろうと、思って」
そして、今。
かがみに謝ろうと、深夜アニメもネトゲもほっぽり出して、早起きした今朝。
教室にいたかがみの前に、私は立っていた。
「私、かがみに嫌われるようなこと…しちゃった、かな」
いつもの私より半音高い声。
こんなテンパるつもりじゃなかったのに、言葉の所々が震えてるのが分かる。
沈黙に耐えきれなくてそっと伺い見ると、真剣な顔で私を見つめているかがみと目があった。
「わたし、は…」
少し苦しそうに聞こえるかがみの声。
かがみは…?
「アンタのことが…」
私のことが…?


「好き」


――――――え?
予想外の言葉に私の口がだらしがなく開く。
好き?誰が?かがみが?だれを?わたしを?なんで?
次々に湧き上がる疑問に頭の中がパニック状態に陥る。
混乱した中、かがみを見ると頬を少し赤らめてギュッと目を瞑っていた。
その顔に私の体温がかぁと上がる。
「……っ」
これなんて告白?
言いたいことは山程あるのに、声帯が震えない。
コクッとカラカラの喉で唾液を飲み込むのと同時に、かがみが窓の外へ視線を移した。それにつられて私も外を見上げる。
この季節には珍しい青天の青空。
それを見上げるかがみがとても綺麗で、神聖で、こんなに近くにいるのになぜか遠くに見えた。
「わたしはっ…」
それがとてつもなく怖くて、いつの間にか私は声を発していた。
窓から視線を移したかがみが、すぅと深呼吸をしたのが見えて、何か言われる前に私から言葉を続ける。


「かがみが好き…っ」


あぁ、もう…
最後の方、声が裏返った。
私らしくもない、でも正直なかがみへの気持ち。
ずっと言いたくて、言えなかった私の気持ち。

「へ…?」
そっちから告白してきたくせに、かがみは唖然というか呆然とした様子で私を見ていた。


 
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