小説等
□give you to me.
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『傍』に居たい、とか
『一緒』に居たい、とか
そういうんじゃなくて
『欲しい』んだよ。お前が。
give you to me.
「ゆーさん!あっ、松兄も!」
「どした崇〜」
「声でけーよお前」
輪になって喋ってる、その中に俺は入れない。
別に、入りたい訳じゃないけど。
なんか、ずりぃなぁ。って。
俺は入れて貰えないのに。
一応、相方なんだけど。
相方は俺だけなのに。
相方より、先輩とか同期のが優先なのか。
…つまんねぇなぁ。
「もーホントどーしましょう。俺どーすればいーんすかね?」
三人の会話聞いてみるか。
「何がだよ」
「俺、今ものっすごい気になる子がいるんすよ。けど向こうは俺なんか全然みたいな感じで…」
吉村、また好きな子出来たのか。
「なるほど。完全な片想いだね。今の所どんな関係なの?」
「んー…。ただの知り合い、くらいかなぁ……」
「じゃ、無理だな。諦めろ」
「松兄バッサリ言い過ぎだよ。崇だって、無理だって分かってるけど、何万分の一の確率を信じて相談してるんだから。せめて気休めぐらいにはなってあげないと」
あ、吉村本気でヘコんでる。
ゆーさんも松兄も毒舌だからな。
完全に相談相手間違えてるよ。
「うー、酷い二人とも…」
「何が?」
「うわ、天然と来たよこの人達」
「じゃ、他の人に聞いてみる?あっ、Qさーん」
「はいはーい。何ですかー?」
何かもうどーでもいーや。告って玉砕してくれれば。
そうじゃないと、『特別』が増えちまうからな。
アイツん中のフォルダで唯一、一人しかいないのは『相方』だけでいいから。
彼女なんか許さねぇ。
そんな奴居たら、俺が殺してやる。
「全然ダメだな…」
「あ、じゃあ徳ちゃん徳ちゃん」
「んー」
今考え事してんだから、話し掛けんなよ。
あ、でも俺がソイツ殺したら、吉村に怒られるかな。いや嫌われるか。
それはヤだな。
「何かねー崇、今好きで好きで仕方がない子がいるんだって」
「んー」
知ってるわ。聞いてたから。
「ちょ、ゆーさん徳井には…」
「そんでどうすればいいかって。どうすればいいと思う?」
「んー」
俺が殺さなきゃ、嫌われねーんだよな。
でも周り巻き込んじゃ悪いし。
あ、じゃあ吉村が殺せばいいじゃん。そしたら俺嫌われねぇ。
でもどーやって殺させるか…。彼女だもんな。そう簡単には殺さねーよな。
「徳井聞いてんの?アレ」
「ほ、ほら、ゆーさんっ。アイツ聞いてねーから。他の人行きましょっ、ねっ?
」
「いやいや、今じっくり考えてくれてんだよ。崇は幸せ者だなー」
理由が無いと殺せねーし…。
あ、そうだ。
「そんな好きなら殺せば?」
「……は?」
「殺せば永久にお前のものになんじゃん。その証拠がほしいなら体の一部切って残しときゃいいし」
それくらいは許してやるよ。俺だって鬼じゃねーからな。
今回のはちゃんと筋通ってるだろ。
「えーっと…」
「相変わらずブッ飛んだ意見だねぇ…」
「ね?だからやめときましょうって言ったじゃないですか」
あれ?何で?
俺の私情を抜いたとしても、別に普通だろ?
その子が見向きもしてくんないんだから、そうするしかねーだろ。
「徳ちゃんが崇の立場だったら、そうする?」
「うん」
「でも、そしたら犯罪者だよ?人殺しだよ?」
「うん」
「…それでもいいの?」
「うん。手に入るんだったら」
相手が誰であっても。
勿論、吉村でも。
つーか吉村は早いトコどうにかしとかねーと、他の奴にとられちまう。
俺だけのものなのに。
他人になんか、やるもんか。
「俺は、殺すよ」
そう言って三人に、…正確に言うと吉村に、ファックポーズしてやった。
俺は、お前が『欲しい』んだ。