新選組長編

□序章-3 部内戦
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 ついに、部内戦の日がやって来た。先に行われた男子のレギュラー決めは、補欠まで含めてすべて2・3年生が先輩の面目を保って占め、1年に譲らなかった。

 そして今日、明日と、女子の部内戦がある。

 やり方は簡単、リーグ戦、1試合4分の三本勝負。

 ただし、マネージャーを除いた女子は3学年合わせて21人居り、210試合もすることになるから、顧問がずっと審判をし続けるわけにもいかないので、ほとんどの試合の審判を男子部員と女子部員で手の空いているもので行う。会場は4つで、それらを顧問が見渡す形で各々の技量を見定める。

 連続試合があって弱音を吐いているようじゃレギュラーにいらん、と顧問は言っていた。

 男子部員も多いが、同じような手法でリーグ戦を無事終えることができたのだ。女子もちゃんとやり遂げられると、皆、確信している。

 かくして試合は始まった。第1試合場の第1試合は和泉と早紀子である。顧問が名前を書いた順番的にこうなった。

 このふたり、いつも勝負は一瞬で決まった。なぜなら互いの手の内を知り尽くしていたし、実力が拮抗していたため、時間をかけずとも、ほぼ一撃で決着がついたからだ。

 今回もそうだった。和泉が、審判のはじめ、という掛け声がかかるや否や、疾風迅雷、面に飛び込み、その出端で小手を狙っていた早紀子の速さをも超え、一本先取した。この際、早紀子は和泉の勢いに飛ばされ、尻餅をついたほどだ。

 それから、二本目は、数秒間の攻め合いの後、逆に先ほどの早紀子と同じ手を使い、早紀子の面の速さを上回って小手を取った。

 これには嘆息するほかは無い。まだ出番ではない女子や、男子部員たちも、他の会場には目もくれずこちらを見ていたようだが、一瞬、他の会場で試合をしている者以外の動きが止まったくらいの名勝負であった。


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