新選組長編

□序章-5 孤軍奮闘
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 和泉は、目の前の光景に唖然とした。大男が倒れている。
 
 そして、それを倒したのは、明らかに自分。
 
 優美が殴りかかられたあの瞬間、何が起こったのかはよく分からない。
 
 ただ、姫華の声を聞いた時にいつもの頭痛から解き放たれ、体が軽くなったことはよく覚えている。

「和泉!?」

 あぁ、誰かが呼んでいるようだ。それがなぜか、ひどく懐かしく感じられた。

「大丈夫?」

「何が起こったの?」

 続けて呼びかけられた。優美と葉月か。

 すると、後ろから小さな悲鳴が聞こえてきた。

「早紀子先輩!」

 振り返ると、地面に蹲る早紀子と、それに気づいて心配そうに覗き込む百合香の姿。

 それを見て、和泉は我に返った。

「おい、早く逃げろ!来た道を帰れ!」

 この怪しい集団が只者ではないことは、本能がよく知っていた。なぜ知っていたかまでは知らないが。

「え、何言って・・・」

 葉月の言葉はそこで遮られ、優美は早紀子を抱え起こしながら、和泉と同じく皆を急き立てた。

「何でもいいから早く!和泉の言葉に従って!」

 優美の剣幕に圧倒され、みんなは急いで元来た道を走って戻る態勢となった。

 しかし、いきなり人に殴りかかるような集団がただで逃がしてくれるわけがない。一斉に和泉たちの方に向かってきた。


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