新選組長編

□序章-6 大会当日
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 あの事件から1週間。本当は大きくなったであろう事件は、なぜか高校側にも告げられず、隠ぺいされた。その真相は後々わかることだが、今は省くとする。

 今日も変わらず、剣道部の面々は元気に稽古をする。何せ試合まであと1週間なのだから。


 稽古の後、女子は6人で帰るのが定番になってきていた。

 全員、あの時の話題を避け、他愛もない話で盛り上がった。

「あと1週間!頑張ろ!」

 元気に言う早紀子。それに相槌を打つ皆。変わらぬ日常がそこに戻ってきていた。


 そして迎えた試合当日。剣道部の面々は全員が集合時間の8時に会場となる体育館前に整列していた。

「気を付け、礼」

 主将の号令に続き、全員が、お願いします、と声をそろえ一礼する。

 そして男子と、レギュラー以外の女子部員は主将に続いて観覧席へ、女子レギュラーは副将に続いて更衣室へと向かい、着替える。

「よし、さっさと着替えて稽古するよ!」

 優美の一言で全員の着替える手が早まる。早く場所取りをしないと試合前のアップができなくなってしまう。

 補欠含め8人の女子メンバーは早々に着替え終わり、胴垂も着け、面に小手を入れたものを小脇に抱え竹刀を持って体育館へと降り立った。


 優美は試合前に先生の指示を仰ぎに行かなければならないので、体操と素振りの号令は和泉が請け負った。

 それから丁度良いタイミングで優美が戻ってきて、面を付け、基礎からアップに入った。

30分ほど基本的な打ち込みをしたところで、最後に試合のように打ち合う地稽古を3セット行い、ようやく蹲踞して終了となった。

 面取れ、の合図で全員が面を外す。それから面を初めのように小脇に抱え、竹刀を持って集合する。

「今日も調子は万全。但し気を抜かないように。今から先生のとこに行きます」

そう言った優美に従って全員ロビーへと出ていった。

すると、そこにいつものように顧問が待ち受けていた。

「一回戦の対戦相手とオーダーを発表する」

 いつも、一回戦の相手は試合直前に告げられる。優勝を狙っているから、相手がどの高校であろうと稽古メニューを変化させないのが流儀であった。

「相手は空谷高校。知っての通り前回の優勝校だ。オーダーは部内戦で決定した時のまま、先鋒鞘野、次鋒剣崎、中堅高里、副将乃木、大将義鷹でいく」
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