新選組SIDE
□束の間の休息
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―束の間の休息。
「ん?」
男は、何やら障子の向こうに気配を感じ、布団から体を起こした。
「誰だ」
問い掛けてみるが、返事は無い。
敵の気配でないことは容易に察せたから、布団から出て障子に手をかけた。
庭に面した廊下には、庭の方を向いて足を垂らして座る男がいた。
「斎藤か」
一言放つと、斎藤と呼ばれた男の隣に腰を下ろした。
「すみません副長。起こしましたか?」
「いや、気にするな」
どうやら斎藤は何か考え事でもしていたらしい。
「お前、また悩んでたのか」
「何の事でしょう?」
すっとぼけやがって、という台詞は心の中にとどめて、副長もとい歳三は、頭に手をやり溜め息一つ吐き出した。
*