はじまり
□ちぢんで…る
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「のわぁっ!?な、なにごと!??」
顔にモフモフしたものが張り付いている。それをベリっと引っぺがす。
『にゃぁ』
「猫…!?わー珍しい色してんねー。よーし、お前の名前はガチャピンだ♪」
『にゃー』
その黄緑色の猫はまるで挨拶でもするように鳴いた後、ぴょんとミケの腕から飛び降りた。
《この子何処から降ってきたんだろ?》
ミケが不思議そうに空を見上げている間に猫はとっとと歩き出す。
「ぉ、そっちは車の交通が多いから危ないよ」
『にぁ』
わかっているとでも言いたげに鳴いて、道路に飛び出す。
大きなトラックがすぐ目の前に迫ってきていた。
「あぶっ……―――――!!」
それは一瞬の出来事だった。
猫を助けようと飛び出したミケ。
クラクションと急ブレーキの音があたりに響き渡る。
猫を抱きしめ身を固めた。
絶体絶命のその中で、ミケは
『ありがとう』
そんな声を聞いた。
そしてミケが投げ捨てたカバンが地面につくころには、少女と猫の姿は忽然と消えさっていた。
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