迷いねこ

□授業中の私語は厳禁
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「ミトス、お前の席は矢陵の後ろだ」

「!」

「アホ毛が邪魔で黒板が見えにくいっていうのでしばらく空席だった席だがな」

「え!?そんな理由でここ空いてたの!?ショックだよ」



「せ、先生、矢陵さんの後ろの席は見えにくいと思うので私の横の男子をどけて…」
「ぇ」

「先生、ここ!今からここ空けるからミトス君をここに…」
「ちょ…っ!?」

「ここだって…」
「それなら私の所も!」
「どきなさいよ!!」
「……!」
「…!」



再び騒ぎだした教室内。
今日だけで何人殴っただろうか、担任はため息ひとつ、


バ ン ッ !!!


盛大な音を立てて出席簿で教卓を叩いた。


「「「………」」」


「…いいか、授業中の私語は厳禁。やぶった奴は俺とマンツーマンの補習だ。
…わかったな??」


「「「――――――…はい…」」」



かつてない程静かな1日だった。







6限目の憂鬱な英語の授業が終わり終業のチャイムが鳴った。


SHR終了の号令が済んだと同時に席を振り返るが

「ミト…あれ!?」


自分の席の後ろにいるであろう少年は、すでに女子生徒たちに囲まれ姿が見えなかった。


「はやっ!!」



「ミトス君はなんで日本に?」

「アイリスってどんなとこ??」

「趣味とかある?」

「今どこに住んでるの??」

「ミトス君、彼女とかいる!?」
「えーいたらショック〜」

「ていうか連絡先教えて!!」
「あー抜け駆けなしよ!私も教えてー」

「やだ、私だって知りたい〜」



黄色い声に阻まれてミトスの元へ行くことが出来ない。


次々と増殖していく女子生徒の群れに押され、自分の席からも遠く離れたとこに流されてしまった。

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