迷いねこ
□君の隣は
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「…ミトスは馬鹿ね。
アイリスは自然豊かで平和で、毎日楽しいじゃない!!
ここを離れて、荒んだコンクリートジャングルにいくなんて…」
「それでも、会いたい子がいるんだ」
「っ、……」
リビングからミトスを呼ぶ声がする。
それに短く返事をして
「ごめんね、ノエル。最後の検診にいってくるよ」
もう一度ノエルの頭を撫でてから部屋を出て行った。
「――――ん…」
顔にくすぐったさを感じて夢から覚める。
目をあけるとそこは真っ暗な空間で、
《…あぁ、さっきのは夢か》
と小さくため息を吐いた。
くすぐったさの正体は髪のようだった。
払うように髪に触れ、そこで違和感を覚える。
《あれ…僕の髪じゃ、ない??》
徐々に目がなれてきてやっと気づいた。
ミケが自分の腕の中で寝息をたてていることに。
「―――――…ッ!?」
予期せぬ距離に体が小さく跳ねてしまった。
もっともミケは熟睡しているようで、気づいた様子もなく幸せそうに口を緩めてる。
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