はじまり
□絶対これカビだよ
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「なにするかーーーーーッ!!?」
「あ、いや、ごめん…無意識に」
「無意識にセクハラってどゆこと!??お母さん、あんたをそんな子に育てた覚えはないわ!!」
「誰がお母さん!?」
《変だな…なんか違った気がする》
殴られたおなかを撫でながら、右手を見つめる。
モヤがかった記憶のなかではもう少し…
《いや、僕…何考えてるんだ!?それじゃまるで、僕が前にあの子の胸を触ったことがあるみたいじゃないか!!
馬鹿らしい!!》
頬を赤くしながら思考を中断する。
あの時と違い、ミケが胸にサポーターをつけていることをミトスは知らない。
「あ、そだ、私仲間から傷薬もらってくるね」
一通り騒いで落ち着いたのか、ケロっとした様子でミトスに話しかけるミケ。
あまりの切り替えの早さに、ミトスでさえ心配してしまう。
「別に休んでれば平気……って、もういないし…」
一人残されたミトスは大きく深呼吸をした。
風が金色の髪をかきあげる。
「……変な子…」
ミケが走りさっていった方を見たが、もうそこに人影はなかった。
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