はじまり

□絶対これカビだよ
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「ミートースー!!」

「……」

《うるさいのが帰ってきた…》


ズキズキする足を水につけながらミトスは顔だけ声のする方へ向ける。
大きなリボンをたなびかせながらミケがこちらに向かって走ってきていた。


「グミっ。よくわかんなかったから適当に♪」

パッとひろげられた小さな手の中には色とりどりのグミ。

赤、橙、黄、緑…


「緑!?なにこれ」

「さぁー…『抹茶グミ』とかそういうたぐいじゃない??食べてみたら?」

「適当!!カビだ!絶対これカビだよ!!」

《姉さま…助けて殺される!》


勇者が女神に祈った日。



「『プティングの味は食べて見ないとわからない』って言葉習わなかったの?長生きしてるくせに」

「…匂いからして危ないよ。こんなときだけ長生き扱いしないで」

「…私の料理もこんな匂いだけど」

「「………」」



しばらく続いた沈黙ののちミトスが
「××料理人…」
と呟いたのは鉄拳制裁。



「据え膳食わねば男じゃないよ」

「使い方間違ってるよね。
…………じゃあアップルグミだけもらう…」


そう言ってグミをひとつ取って口にいれる。
果実の酸味が口の中にひろがり心なしか体が楽になったように感じた。


「…頼んでないことだけど、ありがとう」

「何?ツンデレさん??」

「……ツンデレって言わないでくれる?」


不機嫌そうにそう言うとミトスはパシャと水から足をだすと羽を出した。

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