はじまり
□ロイデぃ…ッド!!?
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ミケを見つめていた瞳が揺らぎ、その小さな唇がわずかに音を紡いだ。
「―――――…ミケ…?」
「…えっ!!?」
「…いえ、…何でもありません」
ばれた、…わけではないようだがこのまま近くにいれば、プレセアには気づかれる可能性は高い。
そもそもタイムリミットが迫っている。
《ど、どうしよう…!?何とかこの場をやりすごして…》
助けを求めようと周りを見渡すと
「―――…ぎゃふん」
グラスを落としたせいで皆がミケに注目していた。
この人ごみでは駆け出しても、出口には間に合わない。
「タマさん?」
プレセアの声に振り返ると心配そうな顔。
「あ…うぁ…」
体の力が抜ける。
視界の端にとらえた自身の体が淡く光りだしているのに気づいた。
《も、無理…―――》
こうなれば現実逃避だ、と言うかのように目を閉じる。
そして、
また風を感じた。
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