はじまり
□また、恋をしたらいい。
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「おねえちゃんにご用ですか?」
「え、いや…そう言うわけじゃないんだけど」
ミトスが曖昧に笑って誤魔化すとシロはそれで納得をしたらしく
「おれはコレ返しにきました」
と絵の具を見せてくれた。
するとちょうどドアが開きひょこっとミケがでてきた。
「お二人さん☆人の部屋の前で何してーんの?」
「おねえちゃん、これ返しにきました!」
「ありゃ懐かし、そいや貸してたね。いいよそれシロにあげるさ」
ミケがそう言うとシロは嬉しそうに絵の具を胸に抱いた。
その間ミトスはじっとミケの顔を見ていた。
《いつもみたいに振る舞って………僕の思いすごし??》
本来の姿のミケはミトスより少し背が高く、自然と見上げる形になった。
何も言わないミトスにミケが向き直る。
「ミトスどしたよ?じっと見てから…」
さては私に惚れた!?
と言う茶化すようなミケの声は耳に届いておらず、視覚だけが働いた。
《――――…目が、赤い……》
気づいた時には体が動いていた。
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