はじまり

□また、恋をしたらいい。
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「違う…そうじゃなくて……」


《なんて言ったらミケが、いつものミケに戻ってくれるか……わからない》



いつもみたいに、ロイド達にしたように仮面をつけて偽りの優しさをあげることは出来る。


《でもそれじゃきっとミケには何も通じない》


頭の中で自分の言葉を探す。
そして、やっと出てきたのは、


「―――…元気になって」

他愛もない、ごく普通の言葉だった。



「ミト…ス」


《あんなハラグロかった子が……こんなに優しく!!奇跡だ》


「…閉じこもってウジウジウジウジ…子供じゃあるまいし」

「前言てっかぁぁぁい!!!」


しかしミトスの言葉が照れ隠しだと気づくのに時間はかからなかった。



「―――…慰めありがと♪」


ミケがくしゃとミトスの頭を撫でると目をそらしたものの何も文句を言わなかった。



「ミトスにはわかんないだろけど……さっき矢口君に、貴方とはお付き合い出来ませんって言ってきたのだよ」

「は?」

いつものような笑顔でにゃは、と笑うミケ。


「…なんで…あれだけ好きだって言ってたくせに」

「うむ、話がややこしいけど簡単に言ったらラブじゃなくてライクだったということですよ」



矢口と改めて話をしてわかった。

矢口の事は確かに好きだ。
話もあうし一緒にいれば楽しい。
しかしそれは友達としての感情。

マーテルのフィルターを除いてみれば、それは恋ではなかった。



言葉にすると簡単だ。
しかし、声にだせず再び視界が滲んだ。


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