迷いねこ

□親子の無償の愛
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「……君は…アイリスの子じゃないね??」

「…アイリス…??」


その問いをミトスが繰り返すと、男性が立ち上がりかけよってきた。


「旅行者かな?直にここに台風がくるぞ。はやく町に行くんだ!!北に行けばすぐにつく」


先ほどの弱々しい姿が嘘のように、テキパキとミトスに説明をする男性。



「…あなたは行かないの??」

「…私は、娘を捜さなくてはならない…」

「娘??」

「あぁ。……恥ずかしい話だが、ケンカをして飛び出して行ってしまったんだ。
…本当に私はダメな父親だよ…」


そう言って自嘲気味に笑う男性。なにか事情があるのだろう。


《だからって人に避難しろと言いながら自分は探しにいくなんて、無謀すぎる》


雨は激しさを増す。

今までも探し回っていたのだろう、男性の顔には疲れの色がでていた。
しかし瞳には一切の曇りもない。


《……親子の無償の愛……か》


不意に朱い親子が頭をよぎる。

少しだけ興味がわいた。



「…僕が探してきてやるよ」

「え…」


驚く男性の瞳に、虹色に輝く羽根が反射した。

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