はじまり2
□私はセレスといいます
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ゴロツキ達から逃れ、路地裏の樽の陰に身を隠す2人の少女。
遠くの方でゴロツキ達の探し回る声が聞こえた。
「ぬぬ、しつこい男は嫌われるぞ〜…」
「あの…貴方は??」
状況を理解して大人しくついてきた少女が、やっと声を発した。
ミケが向き直りにぱっと笑ってみせる。
「ミケと申します♪通りすがりの臨時ヒーローでっす」
大丈夫だった?と声をかけると少女の顔も幾分ほぐれたように見えた。
ズレた帽子をかぶり直して頭を軽く下げる。
「助かりましたわ。どうもありがとう。私はセレスといいます」
「セレスはお金持ちっぽいけど、なんでこんなとこにいたの??」
「…闘技場に行くのに従者を撒いていたら、気づけばこんな所に来てしまいましたの」
「迷子だねぇ」
そう言うとセレスは少し怒ったような恥ずかしそうな表情で拗ねた。
「なんで闘技場に1人で??」
「お兄様が戻られてると聞いて…」
「え??」
「な、なんでもありませんわ。ミケこそ、貴族には見えませんけど貧民街の人間にも見えませんわよ??」
「まぁ一般人ですから☆」
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