はじまり2
□こっから先は私が相手だよ
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「でも、じゃないよ…!
誰かが犠牲にならなきゃ平和にならないなんておかしいよ!!」
「―――――…ッ」
それはかつて世界再生の旅でロイドが言った言葉と重なった。
「…ミケ、もういいよ」
「っ…ミトス……」
震える背中にそっと温もりを感じる。
ぎゅっと力強く抱きしめてくれる腕に、どんどん涙がこみあげる。
「ミケ、聞いて。
僕はミケが知ってる以上に…想像できる以上に、人を傷つけ殺めてきたんだ。
だからこれは当然の結果なんだよ」
「―――…」
「…僕の魂ひとつくらい捧げないと、今まで死んでいった人たちが報われないから…」
「………、…」
ひとつ落ちた涙が頬をぬらした。
《本当は、誰かを愛する資格も、愛される資格もないのに、僕はミケに惹かれてしまった》
「…ミケ、最期に君に会えてよかった。
こんな僕をかばってくれてありがとう」
そう言って腕の力を弱める。
そしてそっとロイド達の方へ背中を押す。
が、ミケは動こうとしない。
「………勝手なことばっか言わないで…」
「…ごめん」
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