はじまり2
□こっから先は私が相手だよ
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クルっとミケが振り返る。
そして驚いた表情のミトスの顔を引き寄せ、
「―――…!」
そっと唇を重ねた。
「―――――…、…私…ミトスが好きだよ…!だから…」
恋するわがまま。
それは誰もが持っている感情で…。
「…ずっと側にいて…。死ぬなんて言わないでよぉ…」
素直にそれをぶつけてくるミケに胸が締め付けられる。
「ミケ、泣かないで…」
「うっさい!泣いてない!!」
「泣いてるじゃない…」
《あぁもう、僕だって…ほんとは君と…―――――…『ほんと』は…??》
ミケの涙に、心の奥底にしまい込んでいた願望が姿を現す。
《ケジメをつけないといけないのは確か。
でも……》
自分の本心はこんな結末なんて望んでいない。
《――――…あぁ…考えることをやめて、流されて……また僕は間違ったのかもしれないね》
自分の死を運命だとし、そこから抗わず悲劇に酔いしれたのかもしれない。
ミケが何度も手を差し出してきて、それでやっと気づいた。
自己犠牲は美学ではない。
命は消えてしまえばそれで終わってしまう。
たくさんの可能性を消してしまうのだ。
「……僕は…バカだ」
そう言って、笑った頬に涙がつたう。
そうだ、偽りで飾った死になんの意味があろうか。
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