はじまり
□女の痛み??
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目覚めると暗闇だった。
「…あれ??ここどこだっけ…??
…夢、かな?」
きょろきょろと辺りを見渡していると、背後からペタペタと足音が聞こえてきた。
振り返るとそこにいたのは、パジャマ姿の少女。
時折咳をしながら、靴も履かず裸足で歩いている。
「……この子…小さい頃の私…??」
ミケの存在が見えていないのだろう、まっすぐ前を向く少女と視線は合わなかったものの、確かに幼い頃の自分だ。
《髪が長い…ってことは10歳くらいの時??
ふーむ、なにが起こってんのかわかんないんだけど、夢ってことで強制解決…》
暗闇に向かって何かを話かけてる様子の少女の背中をぼんやり見つめていると、ふいに10歳の自分が振り返り、目があった。
「―――…涙を止めてあげないと」
「え??…どういう…」
ジリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!
目覚まし時計の音が大音量で聞こえた。
「っだーーーーー!!?うるさーーーい!?!?」
ベッドから飛び起きて「ロイド専用」と書かれた目覚まし時計を急いで消す。
再び訪れた静寂に一息ついて、ぐるりと見渡すと先ほどの夢と違い、柔らかい朝日が窓から部屋におりていた。
部屋の主によって机に出されっぱなしの工具を何気なしに眺めた後、寝癖のついた髪をくしゃりとかきあげた。
「……そっかー。こっちは夢じゃなかったか…」
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