はじまり
□………きみ誰!?
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久しぶりに学校に行って
「え!?ミケ!」
「ミケ、今まで何やってたの!?」
「病気はどーなった!?」
「きゃぁ♪久しぶりだねー」
「進級できるの??」
「もう心配してたんだからね!!」
みんなにもみくちゃにされた。
《まぁ当然っちゃ当然さね〜》
言葉通り押し寄せてくる友達に苦笑しつつも感じる。
《これが、今までいたとこだったんだ…》
不意にロイド達の姿が頭をよぎった。何も言わず別れて心配しているだろう。
と、考え込むように黙ってしまったミケの顔にパシャリとフラッシュがたかれた。
「なんや、登校拒否がなおったかと思ったら暗い顔しよって…」
「ミカ…」
ミカと呼ばれた綺麗な顔立ちの少女はレンズ越しにミケを見ていた。
「…って何で写真撮ってんの?」
「校内新聞に載せる用にな。タイトルは『学年1のモテ男、矢口がフラれる!?その原因を探る!!』ってな」
「情報はやっ!?」
「広報部なめんな。密着取材よろしく!」
「よろしくないわ!!」
向けられるカメラを押しのけつつ自分の席に座るミケ。隣の空いている席にミカが腰をおろした。
「なんや、あんだけ好きや言うてた男を振った割にヘコんどらんなぁ」
「んー…まぁ慰めてもらいましたから☆」
「誰に!?まさか別に本命がいた??いいネタの予感!よう話聞かせてや〜」
「違うから!」
「つまらん!」
「つまらなくて結構!」
《…でもこうしてくだらない話してると、なんか日常に戻ってきた気がするなぁ…》
ミケが『日常』という他愛も無い幸せを噛み締める。
そのときに校門に『日常でないもの』が立っているとは知らずに。
「ここに……ミケが…」
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