小説

□オリジナル:悪魔と鬼
2ページ/3ページ


そう言うと、エドワードは、鋭く尖らせた爪を、教壇にいた教師の首に刺した。ほとばしった血に驚いた女子が、悲鳴を上げる。
クリスチャンはそれに目を細め、
「うるさいなぁ。どこからそんな声出るんだろうね。耳障りなことこの上ない」
クリスチャンは、エドワードと同じような要領で、悲鳴を上げた女子を刺した。教師の肉を口に運びながらそれを見ていたエドワードが、楽しそうな笑い声を上げる。
「久しぶりにクリスが手を出す所見たよ!」
爪についた血を舐めていたクリスチャンが、その味にうっとりしながら答える。
「たまには自分でやらないとね。エドばかりにやらせるのは癪だし!」
「それもそうか。クリス、こっちの血吸っちゃって!」
「わかった。じゃあ他の奴やっといて」
クリスチャンがエドワードの傍らに行き、足元で倒れている教師だった物体に咬みつくと同時に、エドワードは生徒達に一礼して、言った。
「美味しい肉と血の提供、有難う」
下げていた頭を上げた時、エドワードの顔に張りついていた表情は、
「御礼に、楽に殺してあげるよ」
面白いおもちゃを見つけた子供、そのものだった。



「満足した、クリス?」
また学校の屋上に上がったエドワードが、クリスチャンに訊いた。クリスチャンは、まだ血の残っている指を舐めながら答える。
「うん。もういいかな。エドもだろ?」
「うん。じゃあ、帰ろうか」
「そうだね」
クリスチャンは来た時のようにエドワードを抱き、羽根を動かす。

そして、二人は元の世界に帰っていった。



翌日の全国版の新聞には、ある中学校の一クラス全員が神隠しにあったと掲載された。
確かな情報は何もなく、全ての教科書についた血痕から、生存者はいないだろうと警察が発表した。
もちろん、真実を知っている人間は誰もいない。
そして、当の本人達も、その出来事を忘れているかもしれない。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ