コルダ

□禁断に溺れた瞬間
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冬……。あの忙しかったコンクールから半年程経った。
今年のコンクールは例年に比べても、どの先生方にもいい反応をもらった。勿論生徒にも。

始めはどうなるかとおもっていたが……。
なんせ、普通科からの参加者がいたからな、しかも二人……。
その普通科二人組が大活躍という結果だったな。ったく、音楽科に転入すんのかと思いきや……。
…はぁ…二人してかっこつけやがって。音楽科の奴らの立場も考えろってんだ。
コンクールが終わってからあいつらに会わなくなったな。…まぁ土浦は部活で忙しいんだろうけど、………あいつは暇だろ。少しは顔見せてもいいんじゃないか?
コンクール中はしょっちゅう来てたくせに。
放課後一人そんなことを思いながら、窓を開け煙草に火をつける。

「寒っ」
部屋に暖房が入っていたため、外との激しい温度差に一瞬体を震わせる。
「あ…」
それでも窓を閉めなかったのは、

時々手を擦りながら、白い息を吹きかけて寒さを凌いでいる。

「……」
今、俺は階段を降りている。そして玄関に向かっている。……あ、窓閉めてくんの忘れた…。

だが、順調だった足取りも、一階廊下で止まった。
「日野っ悪りぃ、遅れた!ごめんなっ」
………あいつ、土浦待ってたのか。
今日も部活やってたもんな。
てかあいつら、そうだったのか……。

「……あぁ、寒みぃ」
玄関からの隙間風が入ってくる

そうだ……。
自販機で缶コーヒーでも買ってくか。

とびきり苦くて…
けれど、暖かいコーヒーを。


…ああ目に焼き付いて離れない…。

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