Dグレ

□決戦前夜の最後のキス
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ノアと

エクソシストであるかぎり

二人は

敵…どおしである

夜の暗い街

さらに暗い路地裏。

何だか湿った感じがする
私達にはぴったりの待ち合わせ場所かもしれない…


「…待っていたよ。リナリー…」


私は彼に近付く。

「…ティキ…」

指と指を絡め合う。


見つめ合い……


抱きしめられる。


あぁ、どうしてだろう。

彼は私と同じように、

あたたかいのに…


同じように愛を知っているのに…


「リナリー…愛しているよ…」

そんな言葉………

泣きそうになってしまう。

「……私も愛してるわ…」
彼は私の言葉に微笑んでくれた。

どうして


どうして

こんなに優しい瞳をする人を

………殺さなければ行けないの?


どうして……愛しているあなたと戦わなければならないの?

こんな世界なら…

「っティキ…このまま二人で「リナリー…」
優しく呼びかけて私の唇に人差し指をあてる
「…リナリー、………逃げては駄目だ。」

「…っでもっ、このままじゃ私達…」

涙が溢れ、彼に背をむける…。

今日は泣かないって決めていたのに…。
「リナリー?聞いて?」

「……っティキはいいの?…私達のどちらかが死ぬことになっても」

ティキはゆっくり私の肩に手を置いて自分の方へと向かせた。

「…リナリー、俺だって君と戦うのは嫌だ。……でも俺達は敵でなかったら出会うこともなかった。ノアとエクソシストであった運命がリナリーと俺を呼び寄せたんだ。…感謝しないとな。
………それに……何があっても君は死なせない。死んではいけないんだ。」

確かに私達の出会いには戦いが必要だったかもしれない。……でも…今は敵じゃないでしょ?…少なからず私達二人は。


ティキは納得のいかない様子の私に向かって、また言葉を投げかけた。

「もし、二人で逃げたとして……今まで共に生きてきた家族、仲間、何もかもを捨ててられるのか?……俺と二人だけになるんだぞ?」

………一緒に生き、戦ってきた仲間達…。

みんな大切……もし私がこの戦いから逃げても…彼らは私を責めたりはしないだろう。…みんなやさしいから…。でも…

「俺も…あんな奴らだけど、一応今まで一緒にいた家族だから…な…」
………そっか、ティキにとっても家族はかけがえのないものよね…

私も同じ……。でもっ…
「……でも…それ以上に…君が大切で、…こんなにも愛おしい…。」

…あ、あたしも…

「こんなにはまるつもりはなかったのにな…。」

ちょっと苦笑いの彼……
「…そうね、もうあなたがいない世界なんて考えられないもの。」


目と目が合う。

ティキはそっと


私に口付けた。

いつもの…沢山降ってくるようなキスじゃなくて

一度だけ、

ただ一度だけ触れるようなキスをくれた。

物足りない感じはしなかった。…そのキスに全てが刻み込まれていたから。



でも…それが


最後になってしまうと知るのは




明日の戦場でだった…。

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