書庫(D.Gray-man小説1)

□タチの悪い子供ダカラ……。
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コムリン2に部屋を壊された僕には、暫く部屋がなかった。



「ゴメンね、アレン君。兄さんのせいで……。疲れてるのに」

「いえ、気にしないで下さい。僕なら全然大丈夫ですよ」

リナリーが申し訳なさそうに謝るので、僕は元気な風に装おうと、腕をまくし上げて力こぶを見せる。

「ほら、ね」

「アレン君たら……」

リナリーがクスッと笑った。
僕もつられてニッコリ笑った。

「それでアレン君の部屋なんだけど、今使えそうな部屋がないのよ」

なんでも、空き部屋は多くあるのだが、汚れが酷く掃除しなければならないのだそうだ。
リーバーさんは任務帰りの僕に気を遣ってくれていたけれど、今もやはり科学班は城の修理が大変らしく、暇がない様だ。

「それでね、今ちょうど神田が任務でいないのよ。アレン君、神田の部屋じゃ駄目かしら?一晩だけでいいんだけど……」

明日になったら神田も帰ってくるし、部屋も治ってるだろうから、とリナリーが話す。
『神田』、というキーワードを聞いて、僕はドキッとした。
――そう、僕は実は神田に好意を持っていた。
友や仲間としてではなく、愛している特別な人として、僕は、完全に神田に惚れていた。
あの美しい黒髪や顔立ち、仕草の一つ一つが愛おしい。
そんな彼の部屋が使えるなんて言われたら、嫌がる筈などない。
僕はリナリーに変に勘付かれない様に、至って普通の顔を作って笑った。

「判りました。ありがとう、リナリー。リーバーさん達にも宜しく言っておいてくれるかな?」

「ええ、判ったわ。何か困った事があったら言ってね。出来るだけ対応するわ」

「うん。じゃあ僕はこれで」

リナリーに別れを告げ、僕は神田の部屋へ向かって歩を進めた。
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