書庫(他小説)

□A bird of paradise
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君も俺も男……つまり雄だ。
恋愛感情なんて普通は抱かない性別同士、俺達は只の元兄弟として生きていくべきだったのかも知れない。
俺達が信仰している神だって、同性愛を禁忌としている。
けれど俺はそれを破ってしまった。
兄である彼に、男である彼に、恋心を抱いてしまった。
その気持ちに気付いてからは、彼と付き合う事が酷く困難になった。
挨拶を交わすだけで、彼の薄い桃色をした唇に目がいく。
華奢な身体を見て、抱き締めたくなる。
彼のその声が、まるで麻薬の様に甘く痺れるみたいに脳に響き渡ってしまう。
なのに彼は相変わらず俺の気持ちに気付かない。
俺には君が、君のその身体が美しい飾り羽をしている様にすら見える。
君の仕草一つ一つが、俺に多彩な求愛ダンスをしている様にすら見える。
そんなのは錯覚で、彼にもそんな気持ちは全くないという事位、判っているのに。

(彼みたいな鳥がいたな……何て言うんだっけ……――)

あぁ、思い出した。
極楽鳥、だ。



(そんな幸せそうな名前をしているんだから、俺も幸せにしてくれよ)

(まずは俺の気持ちに気付いて……)
END
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