書庫(今日からマ王!小説)

□爆走!運動会!
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「あのさぁ、こっちの方では『運動会』しないの?」

小鳥の鳴き声が聞こえてくる春も終りに近付いてきた天気のいい朝10時に、俺は自分でも『何故あの時あんな事を聞いてしまったんだろう』と思う事をした。

「運動会、ですか?」

一緒にお茶をしていたコンラッドが、聞き返してくる。

「そうそう。だって今まで文化祭染みたのはしたけど、運動会っぽいのはしてないじゃん」

時期的にも合ってるし。
それを聞いたコンラッドは紅茶を啜る手を止めて答えた。

「運動会という名目ではありませんが、『運眞日』ならありますよ」

「うんしん……び?」

何だそりゃ?
聞いた事がない。
漫画やアニメの様に、俺の後ろにクエスチョマークが見えたのだろう。
コンラッドが教えてくれた。

「運動をして、眞王陛下に感謝する日ですよ。運動が出来る位元気に過ごせるのは、眞王陛下のおかげですってね」

「ヘー、そんな日があったんだ。知らなかったよ」

俺は熱い紅茶を飲みながら、コンラッドの言葉に頷いた。
運動して眞王に感謝する日だから『運眞日』か。
長いから略したんだな。
前から思っていたけど、こっちの世界って長い名前が多い。
リリット・ラッチー・(中略)・ダカスコスとか、偉大なる眞王と(中略)魔族の繁栄は永遠なるものなり王国とか。
いっその事最初から短くすればいいと思うのは俺だけだろうか。

「でも残念ながらその日はユーリが向こうにいる間に終ってしまいました」

「え?そうなの?あーあ、折角皆と一緒に運動しまくれると思ったのに」

いつも運動しまくっているが、皆と一緒になってしたかった俺は、落胆した。
コンラッドがおもむろに口を開く。

「じゃあ、またやろうか」
はい?

「えーと、それは来年って意味?それとも、いやもしかしなくても、まさか……」

「これからですよ」

ニッコリ微笑むコンラッド。
ひょっとして、コンラッドって結構思い立ったら派?
そんな事を考えながら、俺は『何故言ってしまったのか』と思う口実を作ってしまったのだった。
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