家訓

□父
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いつものように仕事をしていた。
変わっていたのはティエリアが一緒だったということ。俺たちは兄弟だということを
かくして仕事をしていたから、こんな日がくるとはおもっていたけのだけれど

それは良かったんだ
一緒に弟と仕事ができる喜びもあるし、
けれどそこにいたのはティエリアだけじゃない。アイツもいたんだ


「ロックオン」
「・・・アンタ・・・」

相手は俺より長身で、年もそこそこ若く見える。が、実年齢は40後半の親父だ。
顔立ちはいいと思う。
小さいころは気にもしなかったけれど

「やっぱりお前だったのか。
小さいころから顔が変わらないな」

頭の上に手を置かれそうになって初めてはっとし手を振り払った

「触るな!」
「まだ怒っているのか」

怒ってなどいない
俺は弟たちを置いていったアンタに感謝したいくらいだ
しかし今顔を見せられることに不快感を覚えた。あいつらをこいつに渡したくは無い

「あんた、なんなんだよ」
「俺もお前と仕事だよ、三世代の雑誌発行の表紙に
お前と俺と、ティエリアが選ばれたってわけだ」

世界は狭いね、俺たちが親子だなんて知らないのに選ばれるなんて、
と飄々とした顔で言うものだからまた腹が立つ

「ティエリアも知っているのか」
「あいつは母親に似てきれいな顔になったな。
刹那やアレルヤはどうした?どっちも母親がきれいだったし、
容姿はいいだろう?」

怒りくるって殴りかかりたいところだが
この仕事をしていると、やはり同業者を殴るわけにはいけない
あの家の大黒柱は俺だ

「怒っているのか?」
「怒る?俺が?
お前が俺たちに手を出さなければ怒る理由も無い」
「それがそうもいかなくなってなぁ」

ニヤリと口元を歪ませて悪人面になる

「刹那、かわいくなったか?」

背筋が冷える
俺は今どんな顔になっているだろうか?
これだけはいえる。
冷静にはなっていない。

「昔の刹那は可愛かったな」

見てなんかいないくせに
刹那を語って欲しくない

アイツは家族で
俺の大切な思い人

昔から
ずっと昔から

親だろうがなんだろうが渡したりなんかしない。

「ロックオン」
後ろから声が聞こえて振り返るとティエリアが不振そうな顔をして
こちらを見ている
不振というより怪訝のほうがあたっているかもしれない
ティエリアはこいつの顔を知らないから

「久しぶりだな、ティエリア」
「だれだ」
「親父だよ、お前の」

ティエリアはきょとんとして少し考え込んだ

「・・・俺の母親は性格の趣味は悪いとおもっていたが顔の趣味も悪かったか」
といって去っていく

あいつは、本当に

「性格悪いな」
「あんたに比べたら100倍いいよ」

俺もティエリアの後を追う




「俺たちは各自母親似だと見える」
「・・・そうだな。誰一人似てないな」

容姿も、性格も。




end

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