小話 弐
□恋の病
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彼女に初めて会った日を思い出す。
まだ、あどけない少女。
凛とした瞳で、こちらを見据えるその表情をとても美しいと思った。
その時は、まだ興味本位だったけれども、彼女と接するうちに、内面にも惹かれていった。
その少女は、歳を重ねるごとに益々美しくなっていき、誰をも魅了する、そんな女性になった。
「秀麗、殿。」
「どうしました?藍将軍」
髪に花弁がついていたので、指を髪に伸ばし、花弁を取った。
「あ、」
秀麗は、楸瑛に近づかれ頬を染めた。
最近、二人きりで居ると居心地がよくなかった。
昔みたいに、気軽に話をしたりするのも辛くて。
なので、たまに顔を合わせても、挨拶もそこそこに逃げていたのだ。