頂き物
□想定外のプレゼント交換
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「本当にいいのでしょうか…」
「くどいぞ、柚梨。とっとと行け」
「この時期はここで毎年、年を過ごすものなのに…」
後ろを振り返りつつ、回廊で問答をしているのは他ならぬ景侍郎と黄尚書。
ところが、景侍郎は今年、子供が生まれたのだ。
今は単身赴任をしているが、鳳珠は今年は彼に休みをやろうと決めていたのだ。
ぱちん。
じれったそうに、扇を鳴らす音。
はっ。
「では、行きますね。鳳珠も良い年を」
「ああ…メリークリスマス」
「そうそう、今日はクリスマスでしたね。お茶菓子はケーキにしておきましたよ」
戸部に籠りきりの鳳珠の為に、お茶菓子はほとんど彼が用意している。
いつもは和菓子なのだが、お菓子だけでも季節感をという事で、今回はケーキなのだろう。
そして、柚梨が居なくなると同時に、黎深が滑り込んできた。
「黎深、仕事はどうした」
「仕事? 絳攸で代えの利くものなど、私の仕事とはいえないね。
お前の仕事も景侍郎で代えが利くだろう?」
「…」
「お前は優しいからな」
「やはり、茶化しに来ただけか。なら、帰れ」