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□「膝枕」 31000hitキリリク小説
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「気に入らないな」
「何が?」
「お前は俺のことだけ考えていればいい。大体膝で眠るにしても、お前が他の男のことを考えているだけで虫酸が走る。眠るどころじゃない」
寝てたくせに、そう思ってくすりと微笑った秀麗は、清雅の髪を撫でた。
「ひょっとして清雅は妬いてるのかしら?」
「妬くなんて可愛らしいものじゃないぜ。俺の嫉妬は黒い独占欲の塊だからな」
それは知ってる、そんな表情をしながら彼女は言った。
「覚悟するわ。でも清雅、私はあんたのこと毎日考えてるから安心しなさい」
「憎みすぎてか」
清雅は鼻でせせら笑った。
「いいな。その感情が心地良い」
彼女にとって怒りや憎しみは自分以外にはまず向けられることはないだろう。
それが優越感となる。
だが彼女はその言葉をはっきりと否定した。
「違うわ」
意志の強い瞳だけは、出会った頃のものとまったく変わっていない。
何にも揺るがない。
何にも穢されない。
何にも屈しない。
自分はその瞳にとらわれた。