頂き物
□「公私混同絶対禁止」 フリーリク小説
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その日の仕事も何とか終わり、蘇芳はタケノコ家人の命令通り、秀麗を送ろうとした。
「タンタン、今日は静蘭と一緒に帰るから付き添いはいいわよ。たまには早く帰って、お父さんとゆっくりしたら?」
「そぉ?じゃあお言葉に甘えるかな。お嬢さん、お疲れ様!」
蘇芳は少しも秀麗を疑うことなく、先に帰宅した。
秀麗は足音が遠ざかったのを確認すると、足早に室を出て、とある室の扉を小さく4回叩き、スルッと中へ滑り込んだ−−
「……遅い」
「ごめんね、タンタンを先に帰してたから遅くなっちゃった」
詫びる秀麗を優しく抱き寄せたのは、他でもない清雅だった。
そして犬猿の仲であるはずの秀麗も、その腕の中にすっぽりと納まっている。
「……まぁ、仕方ないか。バレないようにしようって決めたのは俺だし…」
「ふふっ、タンタンは絶対気付いてないわよ」
クスクス笑う秀麗の顎に、形のいい指をかけて上を向かせ、清雅はそっと口付けをした。