お題

□07. 悦びと罪悪の渦
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別にあんな奴のことなんて、なんとも思っていないわ。

(嘘、本当はいつも思ってる)

一緒に居る時間が長くなればなるほど愛しい、この人が欲しい。

(私だけを見て)



繫がった体と繫がらない心



熱にうかされて、反応してしまい壊れそうな体。

(いっそ、壊して)

背徳の悦びが全身を貫き駆け巡る。

終わった後の罪悪感

(いつまでも、こんなことしていられない)

そして、体を離すたびに感じる喪失感

(――ああ、離れていく)


きっと私たちの間には、失ってはならないものを失ったのだろう。


早く行ってしまえばいいのだ。

(行かないで)

彼なりの優しさが、今は鬱陶しい。

(胸が痛むの)

彼は空気を読むのがとても上手で、衣服を整えると室から出て行こうとした。

(もっと、わかってほしいのに)


私は手を伸ばしたけれど、届かずに空を切り、手を引っ込めた




悦びと罪悪の渦


閉じたはずの扉が開いた

そこには、意地の悪そうな顔をした彼が居た

嬉しくて、哀しくて、心の中で呟く、ごめんなさい、と。

 

 
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