岩男小説

□それはまるで泡のように
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自動ドアの向こうには巨大な水槽が設置されており中には三つ下の弟に当たるナンバーズのバブルマンがまるで魚のように悠々と泳ぎ回っていた。
「やぁ。メタル。どうしたんだい?」
バブルマンはのんびりとした口調で優しく問い掛ける。
「いや。特に何でも無いんだ。なんとなく寄ってみたんだけど。」
「ふーん…。そっか。ねぇ。ここから上がりたいんだけどちょっと手伝ってよ。」
「いきなりなんだ?一人でも大丈夫だろ?」
そう言うメタルマンにバブルマンは「いやぁ。一人じゃ大変なんだよー。」と苦笑いしながら頼んだ。
「仕方ないな…。」とため息まじりにメタルマンは言うと水槽の上部へと続く梯子を上る。
梯子を上り切った先はまるでプールサイドのように綺麗にコンクリートで加工されていた。
水槽の縁に立ち彼の名前を呼ぶと底を蹴って水槽の主は上昇してきた。

ザバンと水面から顔を出した彼はメタルマンに向かって手を差し伸べると「引っ張って」と催促する。
「ハイハイ…。」
そっとその手を掴んだ…その時。

「ッ!!」

なんとあろうことかバブルマンはその手を思い切り引っ張ったのだった。
声を上げる間もなくバシャンと大きな音と共に気付いた時にはメタルマンの体は水のなかへ落ちていた。
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