●SOUTHPARK●

□まるで君は天使のようで
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世間はクリスマス!!

ニュースキャスターがテレビで叫ぶ

まぁ僕には関係ないけどね
そんなことを思いながらリビングのソファーの上でぼぅっとテレビの画面を見ていた

クリスマスはあんまり好きじゃない

ユダヤ教徒の僕の家にはそんな行事ないから…

みんなが楽しそうにしているのを見るととにかく羨ましくて仕方なかった


ピンポーン


ドアベルの音でふと我に帰る


誰だろう??スタンかなぁ…?

玄関のドアを開けて僕はびっくりした


「ケニー!」


そこにはなにやら小さな箱をちょこんと手に持って立っているケニーの姿があった


「どうしたの?!」

僕の質問も聞かず目の前に手に持っている箱を「はいっ」と突き出す

「なにこれ?!くれるの??」

「うん。アイクの分も入ってるから二人で食べて。じゃあね。」

これだけ渡すだけにこの寒いなか来てくれたの?

箱の見た目からしてケーキか何かかな?…というかケニーのどこにこんなの買うお金があるんだよ…

「ちょっとケニー!」


「なに??」

やっぱり悪いと思って立ち去ろうとするケニーに駆け寄る

「その…あの…悪いよ。おまえんち貧乏だから…だからここで少し待ってて!いまお金持ってくるから!」

「あ。いーのいーの。これ買ったのうちのお金じゃないから。"僕のお金"だから。」

「え?」

僕は彼の言ってることがよくわかんなかった。

「カイル。なんでもお金で解決しようとするのは君の悪いくせだ。僕はあげたいから君にあげたんだよ。」

「で…でも。」


僕が躊躇しているとケニーは笑って肩を叩いた


「僕がほしいのはお金なんかじゃないんだよ。もっとほしいものがあるんだよ。」


そう言うときびすをかえして去っていった




なんだよほしいものって…

若干もやもやした気持ちのまま家に帰ると早速リビングで箱を開いてみる


そこで僕は思わず顔がほころんだ


2つ入ったショートケーキにメリークリスマスの文字の飾りピンが差してある


生まれて初めてのクリスマスプレゼント



「アイクー!!こっちおいで!!はやく!!」

僕はついうれしさのあまりにアイクを呼ぶ声が大きくなってしまった。
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